平成16年9月19日（日）

釣行日　　平成16年9月19日（日）
場所　　　山梨県真木川
天気　　　晴れ
経路　　　中央高速相模湖→国道20号→真木
入渓　　　桑西橋上流
釣果　　　イワナ、ヤマメ

　「人間とはつくづく不思議なものだと思う。村里にいる時は、あれだけ強欲だったり下賎だったり色欲から逃れられなかったりする人間が、ひとたび獣を追って山に入れば、意志の力で、獣はおろか、石にも木にもなれてしまう。」（邂逅の森　熊谷達也）

　お天道様の下で石になり木になり、渓魚との新たな対峙を期待して、今日は真木川のほとりに降り立つことにした。
　am3:30頃出発、am6:30頃着であったが、テニスコート横にはすでに先行者がいた。
　川の様子を見ながら聞いてみた。
　「上へ行かれます？」。返事、「ええ」。
　しかたなく少し下流側の空き地を探して渓を覗いたところ、崖地ではあったが降りられそうであったので、そこから入渓することにした。

　ここのところの雨で水量は豊富であった。
　このエリアはかなりの傾斜度で、大きな落ち込みのプールの先に小さな落ち込みが連続し、また大きな落ち込みとなっている。
　降りた地点のすぐ上流は、滝のようなかなり大きな落ち込みとなっており、直登が困難なため下流に向かって釣り歩くことにした。

　入渓ポイント近くの白泡の中にそっと餌を振り込むとすぐにアタリがあり、キープサイズぎりぎりのイワナがかかってきた。とりあえず最初の獲物は撮影用にキープすることとし網に収める。
　時折リリースサイズが竿先を揺らし、心地よい感触を伝えてくれている。
　少し下流に進むと大き目の落ち込みプールがあり、そこでは針がかりしないアタリが数回あるためしばしねばっていたのだが、気配に気づき後ろを振り返ると、上から降りてきた釣り人が待機していた。
　「お先にどうぞ」。
　「釣れました？」、「小さいのばかりです」、「上の淵に大きなイワナがいますよ」。
　かくして、先行を譲ることとなり、われわれは上流へ戻り時を稼ぐこととなった。

　入渓地点まで戻り、滝つぼの飛沫を浴びながら大イワナをねらって仕掛けを投入するも、リリースサイズのヤマメ以外目印に反応はなかった。
　その後時をおき再度下流へ向かった。
　下りを続けているうちに7寸弱のイワナをあげ、妻が6寸ほどのヤマメをあげた。
　何時もと反対である。
　小さめの獲物はリリースすることにする。

　一息入れ水を飲む。
　先を見ると、二人の釣り人が釣りあがってきている。
　損傷の激しいウエーダーの中に浸水した渓の水が増えてきた。
　時計の針も11時を回り、丁度車道に出やすいポイントに到達しているのを機に納竿することとした。

　ちゃぽちゃぽ音を立ててるウエーダーをひきずりながら車道を上り、駐車地点に戻った。
　着替えを終え、トン汁に湯を注ぐ。
　倒木に腰掛け、偽ビールを飲みながら握り飯をほうばる。
　木立を翻し、身体を通り抜けていく秋の風が心地よい。
　釣りの時のいつもの光景に何故か安堵する。
　「栗がいっぱい落ちてるよ！」、「ほんと、拾おう、拾おう」。
　二人でポケットいっぱいの栗を拾って帰路に就いた。